高麗エリアは、薪ストーブの家がやたらと多い。
一年に2〜3回、雪が積もるか積もらないか、そんな地域なのにだ。
先日、高麗人の先輩・中島さんからイエルカの薪ストーブを教えてもらった。中島さんは現在、高麗川沿いにコワーキングスペース+カフェ”cawaz”を、池田 大樹くんたちと立ち上げている。どうやらcawazのカフェスペースにイエルカさんの薪ストーブを設置するらしい。
この薪ストーブは、チェコから日本へ移住してきたイエルカさんが、信州の伊那でひとつひとつ製造しているもので、日月堂やキッチングニーでも、この薪ストーブを使っている。
僕が注文住宅の営業マンをしていた頃、展示場の暖房設備が薪ストーブだった。冬場は、朝礼が終わると薪をくべて点火するのが新人の役割で、入社した当時、先輩に着火の仕方を教わって、薪に火をつけていたことを思い出す。高気密高断熱のツーバイフォーの家+薪ストーブは最強の暖かさで、仕事の合間によく薪ストーブの前で本を読んでいたものだ。
それが僕にとって人生初の薪ストーブ体験。
12年ほどつづけた住宅営業マンを辞めてインドを旅してから、急速に所有欲がなくなり、家は死ぬまで賃貸と決め込んでいた僕の心をグラつかせたのが、言うまでもなくイエルカさんの薪ストーブである。
イエルカさんは、埼玉出身の奥様と群馬に住んでいたようで、その後、信州へ移住。
35年前から薪ストーブ制作を始めたようだ。里山暮らしをしながら、一台一台を丁寧に作っている。この様子は、最後にリンクするYoutubeで観ることができる。大地に根をはって自然と共に生きる・・とはこの人のことを言うのだろう。
イエルカさんの暮らしぶりも、仕事も、精神もすべてが美しく思える。
“火”は、人の心を魅了する。
時折、過去世において、火にまつわる悲惨な体験をした場合、炎を見るだけで恐怖感を覚える人がいる。しかし、大抵の人はパチパチと燃える火に癒され、その場から離れられなくなるはずだ。YouTubeで焚火をただしているだけの動画なのに、驚くような再生回数なのもうなずけてしまう。
▼おすすめの本
スイッチひとつで部屋を温めてくれるエアコンは便利ではあるが、乾燥はするし足元はあたたまらないし、個人的には旧世紀の古い道具としか思えない。寒い寒い冬でも、薪ストーブはひと工夫で家全体を暖めることができる。それだけはない、心まで温めてくれる。
薪ストーブがあれば、苦手な冬がたちまちにして好きになってしまう可能性があるのだ。
幸いなことに、山の間伐作業に参加すれば、タダで薪を仕入れることができるのが高麗エリアで、労力と手間さえかければ、燃料の心配はない。そんなわけで、何物も所有せず、なによりも身軽がいちばんの快楽であった僕の心は、イエルカさんの薪ストーブがある家を所有する氣満々なのだ。
しばらくは、ストーブでピザを焼いたりスープを仕込んだり、火をみながら珈琲をのんだり・・
そんな妄想(イメージ)の日々がつづくだろう。
▼イエルカさんの暮らしがわかる素晴らしい番組。
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